「槇」と「槙」の文字更正・文字訂正ついて
Q 出生時から名前を「○美」と称していましたが、現在戸籍を確認しますと、「槙美」となっています。訂正してもらえないでしょうか。
漢字は以下の画像ファイルのとおりです。
そもそも、出生時から称しているとおっしゃられています「まき」は人名用漢字ではないので、使用できませんので訂正できません。っていうのでは、簡単すぎますので、もう少し検討してみます。このような相談は結構あると思いますが、出生届は自分が出しているわけでもないし、届出されたら通常は確認する手段はありませんし、戸籍自体を確認することも少ない上、自分である程度日常使用する名前は勝手に決めれるようなところがあるので、このように思いこまれている方は少なからず存在すると思います。
スポンサードリンク まず、「まき」の漢字を見てみますと、「槇」は「人名用漢字別表・旧字」であって、「槙」は「人名用漢字別表」です。いずれも、現在では正字であって、かつ、規則別表第2の1に掲げられている文字です。したがって、旧字の「槇」から新字の「槙」へは、俗字や誤字を正字に訂正する場合でも、正字間の更正が認められる場合ではありませんので、市区町村限りでは文字の変更をすることができません。ちなみに、旧字の「槇」は平成16年法務省令第66号で規則別表第二を改正したことにより、新たに同表第2の1に新字の「槙」と同種の字種として掲げられるようになった文字です。したがって、余談ですが、平成16年の規則改正前であれば、正字間の更正として、市区町村限りで、旧字の「槇」を「槙」に変えることができていました(おこ128-12)。
しかし、今回相談者がおっしゃられている「まき」は誤字にも俗字にも該当せず、出生届に記載することはできませんし、誤って受理したかどうか、出生届が廃棄されているのであれば、確認するすべもないでしょう。
※法令・通達等は変更することも頻繁にありますので、最新の取扱いは自ら調べてください。
また、私見ですので、この掲載内容に誤りがありましても、一切責任は負いかねますので、自己責任でお願いします。
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