「勢」と「勢」(左上の部分が「生」)の文字訂正
「勢」と「勢」(左上の部分が「生」)の文字についてです。
Q 戸籍の筆頭者氏名欄の氏,父母欄の氏,認知者氏名の氏,認知者の戸籍について,「勢」(左上の部分が「生」)と記載されています。
※ちなみに筆頭者は母で,母と子とのみ在籍です。
この度、母から事件本人の氏を,「勢」(左上の部分が「生」)を「勢」と訂正したい旨の申出がありましたが,どのように訂正すればいいでしょうか。
ちなみに、当然のことですが、「勢」(左上の部分が「生」)は俗字ですので、俗字から正字への「訂正」ということになります。
筆頭者氏名欄の氏,母欄の氏を訂正できることに異論はないですが,実は取扱いが変遷していてとてもややこしいのです。
5200号通達では,筆頭者の氏を訂正すれば,筆頭者と同一呼称の氏を訂正することができる取扱いでした。こせき569−46
スポンサードリンク 5200号通達変更の解説四(2)で,突然
「俗字を正字に訂正する旨の申出があった場合の訂正の範囲は,更正の申出があった場合に準じて取り扱うことになるので,従前戸籍の表示,父母欄等の表示等には及ばないので留意する必要がある」とされて,一見,訂正が及ばないところがあるのかと思ってしまいます。こせき628−124
ところが,その後の資料では,「同一戸籍内のその筆頭者の氏の文字の記載をすべて訂正します。また,その者の氏のほか,その者と同一呼称の氏の文字についても訂正することができます。」とあります。こせき665−71
根拠もなしに,いつ取扱いが変更したんだろうか,疑問に思うところです。
まぁ,とりあえず訂正できると考えたとして,「その者と同一呼称の氏の文字」について,どのような場合に訂正することができるのでしょうか。
個人的には,筆頭者が自己の氏の訂正と同時に当該申請人が同一呼称の父母の氏・従前戸籍の表示等も併せて訂正して欲しいとの申出をもらう必要があると思います。
この申出があれば,戸籍の一貫性の観点及び戸籍には正字で記載するという戸籍法の趣旨から,訂正に応じて差し支えないのではないでしょうか。
※法令・通達等は変更することも頻繁にありますので、最新の取扱いは自ら調べてください。
また、私見ですので、この掲載内容に誤りがありましても、一切責任は負いかねますので、自己責任でお願いします。
私もしばしば間違えることがあります。
おこ81−33
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